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うさぎと青年

CDショップから出てきたら、彼等がいたんです。

大きな店ですが、ちょっと遠いから普段は行かない。けれど、どうしても探したいCDがあった昨日は、その店に寄りました。

お目当てのCDも見つかって、私は満ち足りていました。

店の前の階段を上り過ぎようとした、その時。

もそり。

視線のはじに、「なにか」が入ってきました。動いてる。

もそり。

見慣れた姿は、まさか、まさに、うさぎ、でした。

そして、横に座っている青年が、とても愛おしそうに、うさぎに手を添えていたのです。

・・・昨日は、暑さが一休みするという予報で、私も出掛ける気になったのです。彼等も、きっとそうだったんでしょう。秋の香りを、ちょっとだけ、吸いに。外に出てきたのでしょう。そして、階段の隅の日陰に、座っていたのです。

うさぎを見つめながら、青年はブラシを取り出しました。そして、私は――そのまま通り過ぎました。

一歩、一歩、遠ざかるたびに、声をかける勇気のない自分を悔いつつ、でもその風景は、とても幸せなひとこまとして、頭の中に焼き付きました。

ブラシをかけて、きちんと身体のお手入れをするのが当たり前と、うさぎを愛する青年と、黒と茶のだんだら模様の、愛されるうさぎと。

その風景は、確かに幸せに溢れていたと思います。

そして、私は、信じられない出会いに、一日経った今でも、涙が出てきそうな思いをしています。もしかしたら彼等は、うさぎに気持ちを捧げている私が見た幻ではないのかと。幻でないとしたら、その風景に出逢えた運命に、心からの感謝を。

上手い絵ではないけれど、その幸せが、縁あってここを見てくださっている皆さんにも伝わりますように。

うさぎと青年

Posted by もこもこ on 2004-09-16 at 06:19 午後 in うさぎーずの話, 日常の話 | Permalink

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