パワフリャー、どひゃあ

部屋の隅に、なまうさぎ二号がいたのをいいことに、からかいすぎたのが原因でした。

手を、目の前でひらひら、床をぱたぱた、だんだん二号ちゃんがイライラしてきます。「ぐぅ」と喉の奥で鳴きながら、前足でばばん！と叩き、反撃を試みます。うさぎの前足で叩かれたところで、そんなに痛いものでもないですから、二号ちゃ～ん、ほ～れ、ほ～れ、とからかっていました。

ここから出たい！！！！

二号ちゃんは心底腹を立てました。

二号ちゃんは、超マイペースな性格で、目の前に、物理的に邪魔なものがあると、ぐわし！とくわえて、ぶんっ！と放り投げ、「道」を作ります。放り投げるものは、ウン取り匙のような小さなものから、トイレそのもののような大物まで、大きさを選びません。

私は、忘れていたのです。二号ちゃんは、寝ている人間が邪魔だと、服に噛み付いて動かそうという意志を表ずる程の強者だということに。

今が、その時です。

私は「寝ている人間」ではありませんが、何はともあれ、「邪魔な人間」。

どかしてやる！！！！

ここから出るんだから！！！！

目を三角にして、喉の奥で「ぐぅ」と鳴きながら、二号ちゃんは私の指に力一杯噛み付き、ひねり、放り投げようとしたのです。

78キロ超級の私は岩のように動きませんが、指から血が噴き出しました。

あわててティッシュで拭おうと、横に立った隙間から、二号ちゃんは逃げ出して、至極御満悦。

拭っても拭っても血が簡単には止まりません。うさぎの前歯はカッターのようにするどいので、すぱっと切れていて痛みはないのですが、血がさらさらと出続けます。

その後ミューズでよく洗い、見たところ、まさにカッターで切ったような傷が、四本。一本は下の前歯です。これが食い込んだ状態で、上の前歯で三回噛んでいます。

いやぁ・・・やられました、です。

今はかさぶたもそろそろはがれそうな気配まで治ってきてます。しかし、怒りん坊のうさぎをなめてはいけませんね。うさぎというのがおっそろしくパワフリャーな生き物だと、再実感したことでした。