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中野孝次さん、亡くなる
中野孝次さんが亡くなられました。2004年7月16日、79歳。肺炎だったそうです。3月に食道癌で入院、いったん退院したのものの、再び体調を崩されたとか・・・。
中野孝次さんというと、ドイツ文学者であるとか、「清貧の思想」で氏を知る方も多いと思いますが、私にとっては、やはり「ハラスのいた日々」です。
人生後半戦に入って、生まれて初めて飼った柴犬ハラスとの、なんでもない日々を淡々と綴ったその内容は、同じく犬を愛する者として、大きな共感をもってせまり・・・最後、ハラスとの死に別れをえがいた章では、涙を禁じ得ませんでした。その後、我が家の犬が天に召されたとき、そのことを思い出して、また読み・・・号泣したのをおぼえています。
犬の飼育書は、数多く存在します。ただただ淡々と、犬との暮らしを綴った本は、意外とないものなのです。その意味で、「ハラスのいた日々」は貴重な書であり、今後、動物を愛する者の間で読み継がれていって欲しい、そう思います。
その後、氏は「犬のいる暮らし」と題して、ハラス亡き後、マホ、ハンナ、ナナと再び柴犬と暮らしていく日々を綴った本を出されました。その頃、私はもう、うさぎと生活していましたが、かつて犬を愛し抜いた者として、興味深く読みました。
そんな、中野孝次氏の、生ある者への優しきまなざしが、もう読めないのかと思うと、やはり一抹のさびしさがよぎります。
その分、私が、という訳でもないのですが、氏のまなざしを持って、私も、我が家のうさぎ、小桜インコに接していきたいと、切に自分に願いかけます。常に、自分がそういられますように、と。
果たして、今、自分は、氏の慈悲あふるる思いと同じく、物言わぬ動物たちと接していられているかどうか。いつも自問自答です。彼らは、物言わぬ、ではなく、確実に物を言っているのですが、それを受け止めるアンテナを、人間が持ち得るかどうかが、種を超えた理解の分かれ目です。
正直言って、彼らが何を言っているのか・・・分からないこともまだまだ多いのです。だからこそ、罪滅ぼしとして、生活に潤いを与えてくれる彼らの生活の世話を、誠意を持ってやらせていただくのです。
・・・中野家のハンナちゃん、ナナちゃんはまだご存命のはず・・・主人を失った彼女達は、これからどう暮らしていくのか。ふと、渋谷のハチ公を思い出したりして、切なくなってしまいます。
全ての、人と共に生きる動物たちに幸いあれと、祈ります。中野孝次さん、どうか安らかに、お眠りください。
Posted by もこもこ on 2004-07-22 at 06:46 午後 in 日常の話 | Permalink
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