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ハウルの動く城
「ハウルの動く城」(監督・宮崎駿)を観てきました。
以下、ネタバレあるので、読みたい方だけ続きをどうぞ。
2ちゃんねるの映画板など覗くと、評判がまっぷたつに別れてます。それだけ、いろいろな解釈が可能な映画です。
私の、見終わった瞬間の感想は「???」でした。
ストーリーを追ってると、少し裏切られた気分になります。大筋としてのはっきりした起承転結がありません。それと、裏設定がかなり大きいらしく、それを理解していないと理由が分からないところが多いんです。
逆に、それを知っていれば、悪いものではありません。日常の一部を切り取ったような筋に納得できれば、それはそれでいいんです。
裏設定としての伏線もあるんですが、私はそれに気付けなくて、2ちゃんねるでの該当スレを読んで初めて分かりました。伏線って、もっとはっきり張っているものかと思ったのですが、そういう考え方がステロタイプとして、違うよという、監督の観客への挑戦なのでしょうか?
映画は必ず起承転結がなければならないという約束も現実にはないんですよね。「ハウルの動く城」は、紋切り型の考えに、真っ向から勝負を仕掛けてきます。
見所を変えれば、素晴らしい部分も見えてきます。
アニメ映画としての技術の高さ、これには素晴らしいものがあります。細かい部分の描写まで、ごく自然に見せてしまう。画面の隅々まで気を配られた作り。「動く城」が、ほとんど掃除をしたことがない男所帯という設定ですから、はっきり言って「きったない」のですが(笑)、その汚さ加減が素晴らしい(笑)。
それと、火の悪魔カルシファー(喋る暖炉の火)の描写の美しさには、目を奪われます。
後、私の心に残った描写をいくつか。
荒れ地の魔女が長い階段を登る時の描写、これでもかとたたみかけてきますが、これ、誇張でもなんでもなくて、事実なんですよね・・・あれだけの体型をした人にとっては。自分と引き合わせて大きく納得してしまった部分です。
カルシファーの可愛さ。これはもう、言うところ無し。満点です。カルシファーって、その音のまま和訳できたりして=火悪魔=「火(か)」+「Lucifer」。あ、かなり意訳ですけどね(^^;「Lucifer」は悪魔というより、「魔王」ですから(^^;
お風呂場をソフィーに掃除されてしまった結果まじないが破れ、金髪が茶色くなるハウル。これ、よーく分かりますねぇ。風呂場や洗面所で、自分が使うものの置き場って、決まってるじゃないですか。そこにあるものにそれがないと、やっぱりいい気分ではない。
鳥になって飛んでいくハウル。手塚治虫の名著「ブラックジャック」に、人間を鳥に改造する話があるのですが、容姿がそれを彷彿とさせる。あと、羽根が少し生えた状態の時は、同じくブラックジャックで、木の芽が身体から吹き出す話を思い出したり。
もののけ姫、千尋と受け継がれてきた「にちゃにちゃ、どろどろ」の世界。健在です。というか、にちゃにちゃどろどろを出したくて設定した部分あるんじゃないの(^^;?と思わず邪推(^^;
城。「おいらはボイラー(しゅー)、三浦のボイラー(しゅー)」思い出した私が罪でしょうか。
最後に、「待たれよ」。これだけの為にもう一回観てもいいと思わせる(笑)。
なんだかんだで毎日、頭のどこかで「ハウルの動く城」を考えているんですよね。で、自分で気付いた謎の部分を解きたくて、いつの間にかもう一度観に行きたいと思ってしまう。不思議な力のある映画です。そこまで計算尽くで、一度観ただけでは理解が及ばないように作ってある作品なのだとしたら、これは大作だと思うのです。
Posted by もこもこ on 2004-11-28 at 06:34 午後 in 日常の話 | Permalink
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